イヤーッ!
ウオーッ ウオーッ!
やってやれないことはない
お前みたいなやつに
与信判断する資格はない
明日中に書け!
肩書や居場所は違っていても
お前は お前だ
だろ?
野田さん お願いします
決算書を持ってきてください
くどいな だから そういうことは
やめてくれって言ってんだろ
野田!
決算書 持ってこいと言ってるんだ
一つだけ言っておく
今の私は
このタミヤ電機の経理部長です
二度と
元銀行さんなどと呼ぶんじゃない
野田 返事は!
はい
小川!
お前もだ
はい
私に聞きたいこととは
何でしょうか?
君が京橋支店で
何かの不正を調べているという
噂を聞いたんだが 事実かな?
はい 事実です
穏やかじゃないねえ
金融庁検査を目前に
不正などという噂を
常務としては
聞き流すわけにもいかなくてねえ
ちょっと詳しく
話してくれないか
(岸川)どうした 半沢
知っていることは
全て報告したまえ
分かりました
実は 伊勢島ホテルで
億の損失が出たことを
銀行に
内部告発した人物がいました
ほう
しかし
京橋支店の貝瀬支店長と
古里課長代理は
その内部告発を握りつぶし
損失が出ることを知っていながら
伊勢島に 億の融資が
実行されるよう仕向けました
(岸川)貝瀬君と古里君が!?
何か証拠はあるのか?
ございます
どんな証拠だ? 見せたまえ
今は お見せすることはできません
(岸川)なぜだ?
最重要疎開資料として
私が保管しております
それに この不正の裏には
貝瀬支店長に指示を出した
別の人物がいる疑いがある
それが誰なのか
ハッキリするまでは
安易な報告は
差し控えたほうがよろしいかと
なるほどね けれどもねえ
貝瀬支店長に指示を出せるような
人物となると…
まずは
前京橋支店長だった岸川部長
えッ まさか 君なのかね?
ご冗談を
はあ 違う
でないとすると
君の前に
京橋支店長を務めていた私
その前が
帝国重工に行った伊藤さん
その前が…
残念ながら
常務以前の支店長の方々は皆
現役を退いていらっしゃいます
歴代支店長で現役なのは
お二人だけだ
あら まいりましたねえ
このままじゃ
容疑者にされてしまうよ
さすが半沢君 冗談も一流だね
冗談で申し上げてるつもりは
ございません
伊勢島の担当としては
お二人を疑うのは
当然だと思いますが
いずれにしても 今回の伊勢島問題
諸悪の根源は京橋支店にある
私は そう見ております
そこだよ
私が支店長を務めていた頃は
何の問題もなかったんだ
今回の問題も
法人部に担当替えした矢先に
起きたことだ
旧東京第一が率いる法人部にこそ
諸悪の原因があると
私も思っていますよ
伊勢島への融資は
法人部に移る前
すでに決定されています
にもかかわらず あなたは
担当になって わずか3ヵ月の
時枝に全ての責任を押し付けて
彼を出向させましたね
銀行は人事が全て…
あなたは そうやって これまでも
邪魔な人間や 必要のないものを
切り捨ててこられたんでしょう
一つ お聞かせください
大和田常務が目指す銀行とは
どのような銀行でしょうか
何だね いきなり
ああ いい
決まってるじゃないか
この国の経済を支える
世界一のメガバンクだよ
我々 メガバンクは
絶対に つぶれてはいけないんだ
それだけは死守せねばならない
もし つぶれでもしたら
何百万人 何千万人が
路頭に迷うか 分かってますか?
銀行が
この日本経済が生き残るため
多少の犠牲は やむを得ない
私は現実的な話をしてますからね
そう思いませんか? 半沢君
いいえ
私は そうは思いません
銀行は所詮 金貸しですよ 常務
誰かに金を貸して
その利子で儲けてなんぼ
それだけのことです
だからこそ 私達は
しっかりした目で
貸す相手を見極め
彼らの未来に
責任を持たなければ
ならないのではないでしょうか
競争に負けるわけにはいかない
派閥争いも 大いに結構です
ですが 一つ
忘れてはならないことがある
それは 我々 銀行員は
銀行を守るためではなく
この国で働く人々のために
仕事をしてるということです
銀行のための国民ではなく
国民のための
銀行でなければならない
その思想を
忘れてはならないんです
私達は 上司や組織のために
仕事をしてるわけではありません
たとえ相手が
どんなに小さな企業でも
彼らが
真剣に仕事をしてるかぎり
その熱意を踏みにじる権利は
我々にはないはずです
はい よく分かりました
しかしね 君と私は
基本的には同じことを
マクロとミクロの視点の違いから
言いかえてるだけだ
分かるだろう?
話を元に戻そう
何の話だったかな?
どこかの誰かが 伊勢島ホテルの
内部告発をもみ消した
それが誰なのか
なぜ そんなことをしたか
今は分かりません
ですが 今回の件で
伊勢島ホテルが大きなダメージを
被ったことは事実です
私は 担当として
どんなことをしてでも
伊勢島ホテルを守ります
たとえ地べたをはいつくばり
土下座をしてでも
伊勢島を再建してみせる
そのためには
たとえ相手が誰であれ
全力で戦う覚悟です
覚えておいてください
土下座?
土下…
そんなものは 情に訴えるだけの
くだらないパフォーマンスだよ
何の意味もない
確かに 今まで散々
私の足にすがる輩を見てきたが
私は どうもピンと来なくてねえ
そうするやつらは
どいつもこいつも
無能なやつばっかりだったよ
あなたには分からないでしょうね
土下座をする人間の
必死さも
悔しさも…
(雷鳴)
(雷鳴)
大和田常務
もし私が
伊勢島ホテルを救えなければ
あなたに対する これまでの非礼
土下座して お詫びいたします
ですが もし
隠蔽を指示した人物が あなたなら
私に土下座して詫びてください
(岸川)調子に乗るのも
いい加減にしろ!
私は常務に申し上げてるんです
横から口を挟まないでもらいたい
いいだろう
そんなことができるものなら
やってみたまえ
金融庁検査局
主任検査官の黒崎です
ただいまより
金融庁検査を行います
よろしくね
お久しぶりねえ
東京中央銀行の
大口取引先である伊勢島ホテルが
株の運用失敗によって
億円もの損失を出した
半沢は頭取命令によって
ホテルの再建を
任されることになった
間もなく行われる金融庁検査で
伊勢島ホテルが
実質破綻先と分類されれば
銀行は
億円以上にのぼる
巨額な引当金を
積むことになるのだ
しかし 実は
伊勢島ホテルの運用損失の裏には
融資を得るための
隠蔽工作があったことを
半沢は突き止める
何としても
伊勢島ホテルの問題を解決し
銀行を
守らなければならない半沢だが
その前に現れたのは…
(黒崎)ただいまより
金融庁検査を行います
よろしくね
お久しぶりねえ
同日 同時刻 金融庁検査は
全国にある東京中央銀行の
主要支店にも入った
それは まさしく
東京中央銀行の存続をかけた
金融庁との
戦いの幕開けでもあった
運命って信じる?
私は信じるわ
あなたとまた
こうして会えたんだもの
(半沢)金融庁に戻られたんですね
おめでとうございます
あなたも出世したみたいね
あのときの支店長を
踏み台にして
言っておくけど 伊勢島ホテルは
今回の最重要課題だから
そのつもりで
(岸川)黒崎検査官
お手柔らかにお願いいたします
では早速
聞かせてもらいましょうか
(小野寺)はい 伊勢島ホテルの
与信内容について
ご説明します 資料にあるとおり…
億の損失の件から
話してちょうだい
ええ その…
聞こえません!
あの億は
株の運用失敗による特別損失です
まずは本業のホテル経営における
業績内容から ご説明いたします
小野寺
はい
では改めて ご説明します
伊勢島ホテルは
ここ数年 業績不振が続き
前期は
年ぶりの赤字となりました
それに対し 同社は
顧客ターゲットを海外 特にアジアからの…
もっと具体的に!
何をどうしたの?
上海 シンガポールの大手旅行代理店との
業務提携が既に決定しております
それに備えて
独自のインターネット予約システムなど
IT設備の導入も進めており
確か システム開発を依頼していた先は
ナルセンエンジニアリングだったわよね
はい ナルセンは国内でも
5本の指に入る
IT関連企業です
伊勢島ホテルも 多額の投資を行い
設備開発に力を入れており
今回の経営再建の
重要なファクターの一つとなってます
まあ いいわ
でも肝心なのは 億の大損失
どう補填するつもり?
都内にある社員寮 および
関連企業の保有株を手放すことで
当面の資金を捻出いたします
それじゃあ
億ってとこかしら
全然 足りてないじゃないの!
本業のホテル経営が黒字化すれば
不足分は数年で補填できると…
たらればの話は聞いてません
はあ… 大体 あんた達はさあ
伊勢島ホテルが
黒字になると見越して
億もの融資をしたのよねえ
にもかかわらず その直後に
億の運用失敗が発覚した
しかもよ
白水銀行は それを見越して
融資を止めたっていうじゃない
なのに あなた達は
それを見抜けなかった
なぜかしら?
無能だからじゃないの?
そんな あんた達に
伊勢島ホテルは これから
黒字になりますって言われても
信用できるわけないじゃない
次の聞き取り調査までに
億の確実な補填案が
示せなければ
伊勢島ホテルは 実質破綻先として
即 分類しますから
そうなると 御行には概算で…
億 とんで万円の引当金を
積んでもらうことになるから
いい? もう一回 言うわよ
億 とんで万円よ
無理です
今の伊勢島ホテルに
億の損失を
補填できるだけの
余剰資産があるとは思えません
それでも何か見つけるしかない
小野寺 伊勢島ホテルの資産状況
もう一度 洗い直してくれ
はい
(内藤)頼むぞ 半沢
はい
(渡真利)よりによって 黒崎とはね
お前 随分と好かれてんだな
勘弁してくれ
あいつとの相性は最悪だ
白水には見抜けて
うちには見抜けなかったって
痛いところ突くね 黒崎は…
内部告発があったが うちの行員が
握り潰したなんて言えないからな
その古里の書いた報告書
ちゃんと隠してあんのか?
他の疎開資料と一緒に うちにある
処分した方が安全じゃないの?
あれは 京橋支店と伊勢島ホテルが
事実を隠蔽した重要な証拠だ
金融庁検査が終わったら
キッチリその責任を取ってもらう
それまで処分はできない
そう言うと思ったけど
絶対に見つかんなよ
あんなものが表に出てみろ
伊勢島だけじゃない
うちの銀行も吹っ飛ぶぞ
分かってる
それにしても 貝瀬支店長は何で
伊勢島の内部告発を
握り潰したりしたんだ?
それを今から確かめに行く
確かめるって どこに?
決まってんだろう
貝瀬に直接 聞くんだよ
その頃
近藤は 出向先のタミヤ電機で
見違えるような働きぶりを
見せていた
(近藤)立案書 よくできてた
(清水)ありがとうございます
中島 交渉 ご苦労だったな
疲れてるとは思うが
明日までに報告書を出してくれ
(中島)はい
(田宮)何があったんだ?
(野田)分かりません
(田宮)あまり やる気を出されて
面倒なことにならなければいいが
(貝瀬)伊勢島ホテルの
億の損失を補填する方法?
はい
(貝瀬)私に聞かれてもねえ
今の伊勢島ホテルの担当は君だろう
もう私には関係のない話だ
関係ないはないでしょう あなたが
億の融資を止めていれば
傷は もっと浅くて済んだんです
あの融資が実行されたとき
伊勢島に億の損失が出るなんて
誰が想像できた?
これは 不運な事故なんだよ
本当に そうでしょうか?
何が言いたいのかね?
見覚えありますよねえ
原本は疎開資料として
私が保管しております
これは…
これは あなたのメモと捺印だ
どこから これを…
古里!
おっとっと 大きな声
出さない方がいいですよ
金融庁の人間に知られたら
大変なことになりますから
あなたは伊勢島で 億の損失が
出たことを知っていた
にもかかわらず
その内部告発をもみ消し
億の融資が
実行されるように仕向けた
違う 私は ただ…
ただ?
いや…
ただ あなたは
上からの指示に従っただけ
違いますか?
やはり そうなんですね
誰の指示です?
貝瀬さん この資料が
取締役会に提出されれば
あなたはもう終わりです だがもし
誰かの指示でしたことなら 多少
処分の軽減があるかもしれない
正直に話した方が
いいんじゃありませんか?
私が その人の名を言ったところで
何も証拠がない
(渡真利)あなたが証言すれば
証拠に…
私の証言など その人なら
簡単に覆してしまう
君達にも
勝ち目はないよ
これ以上 この件に触れない方が
身のためだと思うがね
(戸越)そいつが闇の中心だ
そいつの証拠を探せ
大和田常務
全てを指示したのは
大和田常務ですね
そうだ
と言ったら
その報告書を
処分してくれるのか?
いいえ
そういうわけにはまいりません
たとえ上からの命令だとしても
あなた達にも
それなりの責任を取っていただく
だったら もう話すことは何もない
いいんですか? この書類のこと
本部にバラしますよ
やれるもんならやってみろ
今 そんなことをすれば
金融庁にバレて
銀行は大変なことになるぞ
銀行のためを思うなら
おとなしくすることだ
開き直るつもりですか?
確かに この件は
金融庁検査が終わるまでは
伏せておいた方がいいでしょう
だが そのあとは容赦しねえぞ
覚悟しとけ
金融庁検査を
君が無事に乗り切れればいいがね
(渡真利)あの野郎 こっちの弱みを
逆手に取りやがって
半沢 バックにいるのが
大和田常務だとして
本当に やり合うつもりか?
当然だ
だよな
でも どうも腑に落ちない
何で大和田常務は そこまでして
億の融資を実行させたんだ?
リスクを冒してまで
不正融資をすることに
何のメリットがある?
羽根専務から よっぽどの見返りを
もらってたってこと?
次長
どうした?
見つけましたよ 億の損失を
補填できるだけの余剰資産を
あったのか
やるじゃん 小野寺
あるにはありました
ですが
それを売却できるかどうか…
どういうこと?
(小野寺)その資産は伊勢島ホテルの
聖域とも呼ばれてるらしいんです
聖域?
(羽根)
困りますねえ 東京中央銀行さん
お宅との窓口は この私ですよ
そういうことでしたら ひと言
言ってくださればいいのに
申し訳ございません
それとも 私には言えない
秘密の話でもあるのですか?
(湯浅)私が話さなくていいと
言ったんです
すいませんね 羽根さん
今日は ちょっと
個人的な用件なのでね
そうですか
それなら私が
口を挟むことではありませんね
半沢さん お話は私の部屋で
はい
(湯浅)で 私に話というのは?
実は 金融庁から
億の損失を
全額補填するようにと
言われております
全額!?
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